2020/05/31

『ムツゴロウの無人島記』 畑正憲 文春文庫

再読してみるとやはりほとんど覚えていない。
丹沢のシカ問題が契機みたいだったようで、
「社会的に立派な地位にある方が、シカのために泣ける純粋さが、私をゆさぶり、決心を固めさせた。私は島から挑戦状をたたきつけるつもりだ。」(24)
病気をしても、人間そんな簡単にしなないという信念があり、自分の女房を三回開腹手術をしているからポンコツだと罵り、そのくせ持病で手術のために一時東京に行たり、薬をきちんと持ってきているし、缶詰だとかもあるし・・・。
なんかですね、無人島での生活を目指しているわりには、けっこうゆるい。ふつー無人島で過ごすっていうならサバイバルを想像するけど、畑さんの場合は違う。
嶮暮帰島での生活のために、かなり準備万端だし、霧多布の人々から多くの助けをえているし、これはサバイバルとは全く違うものになっている。
霧多布の人々がもおもしろく描かれていて、大家はムツゴロウのために舟を用意してあげちゃうし。
漁業権が問題あるにもかかわらず、ある男がカレイを網で取りにいこうと進めるがムツゴロウは渋ると、文句をいうようなやつがいるなら家に火つけろ、とか言うし。

『無人島記』で覚えているのが、馬のポンコの出産で、陰部を撫で、まだ大きく開いているその部分に吸い込まれそうだと書き、
「これなら、おれ一人ぐらい入っていけるかもしれないぞ。……子馬が出てきた穴と子馬とかわるがわるながめ、それから自分の大きさを目測した。よさそうだ。中に入って首だけ出し、『おいタバコ!」などと注文し、一服やったらどんなに気分がいいだろう」(90)
この『無人島記』で覚えているがこの箇所だけだった。
高校生の頃、かなり衝撃だった。当時まだ童貞だったぼくは、そりゃなんか卑猥でありつつ、牧歌性を含み、畑さんがこの性的な話をバカっぽく書いていることに、ある種救われていたものだ。
ヒグマ、カラス、犬、猫、たぬきたちと共に

残念ながら、『続』と『続々』が手元にない。近所の図書館の蔵書を確認しても畑正憲の本をほとんど置いてないし。
んー断捨離のつもりだったけど、買おうかな。
あらためて、ムツゴロウはやべー奴だな。

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