2020/05/01

「 黒格子の嫁」司馬遼太郎短篇全集

叔父の仇をうつべく大阪にきた佐七は、流れ流れて口寄せの黒格子の嫁の男衆になる。そこでかたき玄妙を見つける。玄妙は佐七をつかまえて、自ら佐七の叔父を殺したかもしれないことを白状する。玄妙は佐七に首をくれてやってもいいが、仇をうてばきっと掛川家の扶持が戻るのか確認してくれ、そして確認がとれた首くれてやると約束する。
菊は、玄妙が気儘人で法螺ばなしをよくしていることを伝える。「あいつ、おれを茶にしやがった」
佐七と菊は関係を持つが、あるとき黒格子の嫁にばれる。逃げる際中、玄妙に会い
「ようやったなあ。黒格子の嫁はちょっと可哀そうやったが、まあ戯作でもかならず悪役とええ役との二つは要るもんや。楽屋へはいってからわいがようなぐさめとく。ほんまにようやった。自分の二本の脚でしっかり立ってる気持はええもんやろ。」
そのまま二人は玄妙の世話になる。

この小説、佐七は江戸の武士ということもあり、「江戸」の言葉で話しているが最後、玄妙が官軍が大阪を攻めると政治の空白ができるから、浪速隊という自警組織をつくる。その武装姿をみて
「祝儀、ぎょうさん貰うとるさかいなあ」
と大阪の言葉でつぶやくあたりが、ねらいすぎでしょうよ。
「すでに土地馴れした佐七の目からすれば、かれらの武装姿のほうが、はるかに人情臭くて立派なような気がした。」
ここでも、薩長にちょっぴり辛口です。
黒格子の嫁っていうけど、そもそもどこから「黒格子」ってどこからとっているのだろうか。

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