2018/05/05

Vivaldi, Stabat Mater, Michel Corboz, Naoko Ihara, Erato, STU 71018/ヴィヴァルディ 「スターバト・マーテル」「ディキシット・ドミヌス」ミシェル・コルボ


Vivaldi, Stabat Mater, Dixit Dominus A Double Choeur
La Musique Sacrée Vol. 5
Michel Corboz
Naoko Ihara
Solistes, Choeur Symphonique & Orchestre De La Fondation Glubenkian De Lisbonne
Erato, STU 71018
1977


ヴィヴァルディのスターバト・マーテル。嘆きと悲しみの曲としては、古今東西これほどのものがあるかというぐらいのものとなっている。ヴィヴァルディらしく単純な構成となっているが、それが聴くものに直接訴えかけるものがある。
しかし、このスターバト・マーテルという形式は本当にマリアの嘆きを表現したものなのかといつも疑ってしまう。ペルゴレージ、ドヴォルザークなど多くの作曲家がスターバト・マーテルを作曲しているが、どれとっても宗教音楽ではなく世俗音楽に聞こえてくる。ティツィアーノ・スカルパ『スターバト・マーテル』(河出書房新社)という小説がある。手元にすでにないが朧気ながら覚えているのは、孤児院で過ごす少女の目線で描かれたこの小説が、まさにこの曲を通奏低音となしてることだ。ヴィヴァルディ自体の生涯はよくわかっていないらしいので、この小説自体創作ではあるのだけれど、あと内容もきちんと覚えていないのだけれども、情景は忘れられない。少女の嘆きと重なってしまう。
このミシェル・コルボの録音は、僕にとって、ヴィヴァルディのスターバト・マーテルの決定版の一つ。LPを見つけたので購入する。低音部がCDよりも響き、音の空間への広がりが優れている。伊原直子さんの太く陰影濃い歌声がこの曲の悲壮感を増している。