CANTATA, BACH

アーノンクールとレオンハルトが共同で録音した教会カンタータのレコードを1巻から19巻まで手に入れた。全巻ではないが、ここから少しずつ聞いていこうと思う。レコード盤では驚いたことに楽譜がついている。たしかCDではそんな粋なことはしていなかったと思う。とくにアーノンクール=レオンハルト版だけを聞くつもりではないけれど、これが僕にとっては集中的に聞く版になるかと思う。基本的にはレコードで出されているものだけを扱う。そのためBCJやガーディナーなどは聴く対象外になるかかもしれない。
なぜかというと、音質の問題がないわけではないが、一番大きいのは「聴く」という作業において、CDの場合、受動的になりがちであり、また一曲約15分以上ある曲でもあるのでCDの場合全編を通しで聴かず、特定の箇所だけを聴いてしまうという危険がある。これはCDの手軽さゆえのメリットでもあるが、デメリットでもある。ボタン一つで好きな箇所に飛べて好きな楽章だけを聴いてしまうとカンタータ理解を妨げる。全体の構成を把握することや最初のコラールから最後のコラールまで一通り全編を聴くことは、とても有意義なことだ。有名な箇所、きれいな旋律の箇所だけを聴くというのは、作品理解ではなく、ただの音楽に対しての自己投影、自己陶酔にすぎない。ロマン主義や現代の音楽がそうであるように、単なる自己の感情を代弁するだけのものに成り下がる。
音楽を聴くという行為は積極的な行動であり、それは疲れるものである。大袈裟な言いだけど、それは他者理解でもある。300年前に作曲された音楽を聴くことは、その時代、その地域の、現代の感性とは隔絶した世界を垣間見ることでもある。CDというのは、音楽を単なるBGMに変貌させてしまっている。レコードでは、針を落とすという行為が、このBGM化を防いでくれる。好きな箇所だけ聞くには、その箇所に針を落とすのも面倒だし、いちいち立ち上がるのも面倒だ。
バッハに限らないが、音楽を聴くならばレコードで聴くべきというのは、こういうレコードそのものが伴う身体性もあるのかと思う。2018/5/7


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