2020/05/19

「八咫烏」司馬遼太郎短篇全集四

「神々は好色である」姉妹編のような短篇。
ここでは八咫烏が主人公となっている。八咫烏は海族と出雲族の混血で、海族に差別にあっていた。出雲族への進軍のとき、八咫烏はイワレ彦を抱えながら歩く。
海族の赤目彦は出雲族の将軍だが海族である饒速日に出雲族首長の長髄彦が降伏しなかったら殺すことをつげる。饒速日は赤目彦を長髄彦まで案内する。
八咫烏は、混血であることを長髄彦に侮辱され、赤目彦に斬ってくれと叫ぶ。
八咫烏は建津身命(たけつのみのみこと)という名を与えあっれ、宇陀の地へ行きそこで天鈿女命に会う。そしてヤマトの諸族相和のため海族の大巫女になるように願い出る。天鈿女命はみずからの憑神が天照大神であることをつげ、八咫烏の母が天鎮命であることを見抜き、こんご眼にかけることを誓う。
いまの比叡山麓に御生山という岡があり、八咫烏はこの岡に済、御蔭神社にその岡が残っているという。三宅八幡駅の東北にあるという。

んー、神話的世界の広がりが不十分な感じでしょうか。小説としては、それほどおもしろいものではない。
ぼくは古事記や日本書紀に疎いから、八咫烏がどんな立ち位置になっているのかわからない。この小説では八咫烏は海族と出雲族の混血で、ヤマト平定の象徴的役割になっている。八咫烏は海族、出雲族からも差別されているが、これは古事記かほかの文献から何かヒントがあってそういう設定にしているのか。出雲族は朝鮮系、海族はポリネシア系で、その混血が日本人といった、日本民族の成り立ちを題材にしている感じでしょうか。





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