2020/04/29

「庄兵衛稲荷」司馬遼太郎短篇全集三

気儘人、猿霞堂庄兵衛は川同心だったが、早々に辞めて隠居する。かつては北辰一刀流の剣客で緒方塾で蘭学も学んでいたという。
「由来、気儘人というのは、能力があってしかも世を捨てて市井で怠けているという者への尊称」である。
庄兵衛はお稲という大和高取藩の家老の妻女だが、すでにご寮人で、新太郎という一人息子がいた。庄兵衛はお稲との恋を成就させるために天誅組討伐を手助けすることにする。

こちらも未完かな。尻切れトンボになっちゃてる。突然、紙数がきたからまた次回、とか書いて終わっている。
ブリーキトースを家康から保管するように命じられた高取藩が後生大事にしていという牧歌的なところなんか、幕末の騒乱とは別世界な感じがでてます。
しかしですね、司馬さんが恋の指南を書くというのがうける。恋の過程も楽しめないと本当の数寄ではないみたいな。それで司馬さんが描く女像というのが、なんともかんとも男が描く単純さよ。
「厭や」
「かんにんやでえ」
「厭や」
「かんにんしてや」
「厭や。ここでは、いや――あの、あの藪のなかへ、わたくしを抱いていって」「
「ご寮人さん」
「ここでは、いや」
「――じつは」
「ああ首が動かん。手エも足もや。かんじんのわいが動かれへんねや」

おもしろいやりとりだけど、絶対にこんなベタベタな状況は存在しない。司馬さんが描く女性はフェミニズム的には批判分析対象だけれど、まあ読者はほぼ男性だしいいでしょ。

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