2020/04/11

『人類が消えた世界』アラン・ワイズマン 鬼澤忍訳 早川書房

基本的に望んでいた内容とは異なっていた。
人類が世界から消えて、その過程を描いているのかと思いきや、プラスティックや肥料なんかの環境問題、原子力の問題なんかが中心で、その腐敗や腐食、浄化などの話を期待していたんだけどなー。
ないわけではないけど、ちょろっとしかないし。
結論から言えば、あらゆるものは分解されていちゃうという。プラスティックはちょっと時間がかかる。ほかにも土の中に埋もれてる場合酸素に触れずにすむから腐食に耐えられるだとか、けっこう新聞紙だとか紙類も酸素に触れられずにまとまって地中なんかにあると何千年とのこるという。
だからなんだってんだ。
んなことはわかってんだよー。
読みたかったのはSFチックなこの世の崩壊劇だったわけで、それを材料学、生物学などの面から考察していって、ナウシカのような世界を描いてくれることだった。がっかりだ。
最初の方では、若干金属素材について書いてあったりして、いい具合だったんだけどね。
世界崩壊後の世界を描いた作品として、貴志祐介の『新世界より』だとか思い出す。これなんか超能力をもった人類の社会がいかなるものになるか、という実験的な考察をしていて、そこにはボノボ的な性愛の文化が育まれていたりと、なかなかおもしろかった。
このワイズマンの本では、自然界のエントロピー増大的な話を期待していただけあって、残念でした。

トリビア的な情報があって、例えばニューヨークの地下鉄では絶え間なく地下水がでていて、一分間に2500リットルだという。それを電動ポンプで汲みあげているというのだから驚く。大雨やら干潮やらとつねに闘っているらしい。へーー。

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