Mozart, Symphony No. 40
Beethoven, Symphony No. 1
Orchestra Of The 18th Century
Frans Brüggen
Philips Digital Classics, 416 329-1, 1985
ブリュッヘンによるモーツァルト交響曲第40番。カップリングにベートーヴェン交響曲第1番。
演奏は、やはり古楽器演奏に慣れているからか、特に違和感もなく聴けた。というか名盤だなこれは。これまでいくつか40番を接してきたが、それらはほぼモダンの楽器のもの。正直言うと、どの指揮者の演奏がいいかななんて、あんまりよくわからなかった。モーツァルト作品の場合、解釈というのがあまり入り込む余地がないように作られているのかな。でもハイドンなんかもそう。ロマン派の音楽とは違い、モーツァルト時代の作曲法というか求められていた音楽の違いなのかな。
というわけで、ブリュッヘンの演奏にしても、まあ古楽器ということ以外はあまりモダン演奏と変わり映えはないかと思うんだけど、やはり強弱の付け方、アーティキュレーションが独特で40番という作品の輪郭がはっきりとでている。あとは、従来の40番とは違って、短調なのに短調な感じがしないのが不思議。モーツァルトの曲のなかでも有名なこの曲は、短調で書かれているがゆえに、主にロマン派音楽を聴く人や現代人にとっても、感情移入しやすい曲。哀愁だとかを感じちゃんでしょうね。
そしてこのアルバムで白眉なのが、カップリングのベートーヴェン第1番。僕は第1番は35年生きてきたがおそらく10回も聞いていないと思う。というわけで聴いてみた。おお、ベートーヴェン、お前の音楽はやはりこっち側の音楽なんだよ。古典派としてのベートーヴェンの復活だよ、これは。面白い演奏だったよ。堂々たる第一楽章なんだが、とっても軽やか。この楽章だけ聴いても、やはりベートーヴェンはハイドン、モーツァルトといった系譜の中で生きていた人物なんだなとしみじみ思う。で、調べてみたらこの曲はベートーヴェンが30歳の時に作曲したものだと知った。そうなのかー。時間がかかったんだなー。ベートーヴェンはモーツァルトとは違って大器晩成型だな。モーツァルトは、若い頃の作品の方がいいのが揃ってて、K300−400番代なんかはもう名曲揃いだし。ただ500番代に入ると僕の好みの作品が少なくなる。
第2楽章はモーツァルトそのまま緩徐楽章。第三楽章はメヌエットではなくてスケルツォ。このあたりベートーヴェンの独自性が出ていると言われているよう。第4楽章は愉快だね。後年には見られない曲風。
とまあ、全体的にこじんまりとした曲だけど、全体的に統一感があるし、ハイドン的な音楽の面白さを感じられる曲だ。この感じの音楽はベートーヴェンの場合、後年はあまりないと思う。交響曲第8番やピアノ・ソナタ30番の第1楽章ぐらいなのかな。
このアルバムはモーツァルトもよかったけど、ベートーヴェンの第一番を楽しく聴くことができたのが一番の収穫だった。
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