2019/02/07

『ヤマンタカ 大菩薩峠血風録』 夢枕獏 角川書店

空海本の後、勢いでこれも読む。やはり面白い。多くの人が『大菩薩峠』に挑戦したと思うけど、本当、誰がこの小説を完読できるのだろうと思わずにはいられない。『大菩薩峠』を知らなくても全く問題ないし、僕自身全く知らなかった。
夢枕獏の登場人物の傾向として、もうその道でしか生きることができない者の哀しさと、美しさをもっている。この小説でも、土方歳三、机竜之介、宇津木文之丞、など登場人物みんな剣でしか生きる道を知らなくて、いいなあ、美しいなあと思いながら読み進めていった。真剣試合の前に、近藤勇が試合にのぞむ土方に、「負けたっていいじゃないか、負けたって死ぬだけじゃないか、死んでこい、歳」みたいなこと言っていて、かっこいいじゃないか。あと、真剣試合での描写なんかは、さすが獏さんで、緊迫感がいい。
でも、ちょっと気に入らない点を言えば、机竜之介が無敵の理由が、痛みという感覚が先天的に知らないから、というのはどうなんだろう。『ミレニアム』でもそんな落ちだったけど。まあ『ミレニアム』はなぜ世界的に売れたのか疑問なぐらい長いだけのつまらない小説だったけど。だって主人公は周りの女性とSEXしまくっていて、むかつくし。とにかく、この設定はちょっと反則ちっくで、無敵の理由はもっとなんか宿命的で業のようなもののほうがよかったなと思った。
いずれにせよ、読んでおいてよかった。これでいちおう夢枕獏の小説で、積読になっているものは全て片付いた。もっとあるかと思いきや、なんだかんだで定期的に夢枕先生の小説は消化していたようで、よかった。

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