2019/02/07

『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』 夢枕獏 徳間書店

読もう読もうと思って何年過ぎたかな。たぶん10年ぐらい積読状態だった。というのも全4巻でなげーなと思ったから。一念発起して読んだが、やっぱり面白い。読み始めたら、4日で読めたぜ。
阿倍仲麻呂、李白、白居易などが登場するだけでなく、ちょい役で韓愈がでてきたりとまあ登場人物からして心躍る。夢枕獏が歴史を舞台にすると、こういうところがいいもんで、『東天の獅子』なんかでも、ちょいちょい歴史ファンを喜ばせる工夫がなされている。
白居易の長恨歌をベースにしていて、そのあたりも憎い。だけどもう少し欲を言えば、タイトルに「鬼と宴す」とあるからには、最後の宴で、もっと幻想的かつおどろおどろしさが欲しかったかな。
この本を読んでいて、ちょっと気になったのが、兵馬俑についてで、この小説で俑が重要だが、秦の始皇帝の時代から約800年後の唐の時代において、事実この兵馬俑の存在は知られていたのかどうか。文献として知られていたのかな。始皇帝陵の存在は『史記』などで知られていたが兵馬俑は知られていなかったとWikipediaには書かれていたけど。Wikipediaの記述では、兵馬俑というのは別に秦の始皇帝が始めたわけでもなく、後の漢代にもつくられていたというから、中華文化圏では宗教的儀式か何かの一種として、周知されていたりしたのではないのかな。どうなんだろ。
しかしあとがき読んでびっくりしたけど、書き終わるのに20年以上かけているのか。他にも未完のものがあるだけに、よくきちんと終わらせたな。

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