2019/02/08

『消された一家――北九州・連続監禁殺人事件』豊田正義 新潮社

興味深い。マインドコントロールってそんなに簡単にかかるのかな。純子はかかりやすかったにせよだ、その家族までもが松永の言いなりになるなんて。しかも姉の旦那は元警察官で当初は松永を怪しんでいた人物までもが、松永の言いなりで家族を殺し、死体を解体していまったりする。しかもそのやり方が、まず電気ショックを使ってなのだが、途中でバカバカしくならないものなのだろうか。恐ろしいのは、家族同士が松永の機嫌を読み取りながら、自ら「殺します」と言ってやっていることだ。父をみんなで殺し、母をみんなで殺し、妻、子供、弟をみんなで殺し、殺すだけでなくミキサーにかけて細かくするなんてマインドコントロールというのはそこまで人を無感覚にさせるものなのか。
この本の良かった所は、最後に裁判の経過が書かれていたところで、一審と二審での純子への裁かれ方が異なっていることを述べていることだ。一審ではDV被害により正常に判断できない状態あるなどが一切取り扱われていなかったようで、二審でようやくそれが評価されるようになったとのことだ。ここは面白い点で、裁判というものが何を争点にして争われるかが重要になる証拠だ。

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