J.S. Bach
Cantates
BWV 54 "Widerstehe doch der Sünde"
BWV 53 "Schlage doch, gewünschte Stunde"
BWV 169 "Gott soll allein mein Herze haben"
Birgit Finnilä, Marie-Claire Alain,
Orchestre De Chambre Jean-François Paillard
Erato, STU71161
France, 1979
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮、オルガンはマリー=クレール・アラン、アルトがビルギット・フィニレ。
パイヤールとアランという組み合わせで、カンタータというのはなかなかいいじゃないですか。ネット調べてみると、どうもこの録音はCD化されていない。パイヤールってバロックを専門にしていたと思うけど、カンタータってあんまり録音していないよう。というよりこれ一枚なのかもしれない。よくわからない。このアルバムでは、いわゆるアルトによるソロ・カンタータの組み合わせとばっている。
さて、演奏なんだけど、これはいいですね。BWV54「罪に手むかうべし」。不協和音ではじまる。ふあーんという感じで。二つのアリアは共に美しい。この曲の歌詞では、罪に抗いなさい、それはサタンからの贈り物なのだから、正しく祈り、罪に立ち向かいなさい、といった内容で、興味深いのが「罪」というのが外部の要素であると認識されているとうことだ。というか比喩かなにかなのかもしれないけど、どうなんでしょうか。神学において人間が罪を犯すのは不完全であるが故ということかと思っていたのだけれど。ここでは人間の欠陥は歌われない。静かに訥々と語るかのようなアルトは、歌詞の内容から想像する勇ましさとは無縁のもので、穏やかに語り聞かせる感じ。フィニレの歌声は、バッハによくあうんじゃないかな。とても抑制のきいた歌い方をしている。
BWV53「いざ打てかし、願わしき時の鐘よ」 ゲオルグ・メルヒオル・ホフマンというライプツィヒのアルガン奏者が作曲したものらしい。ベルがちりんちりんとなっていて、歌も伴奏もシンプルでこじんまりとした曲。初めて聞いたけど、いい曲だと思う。
BWV169「神のみにぞわれ心を捧げん」はオルガン付きシンフォニアから始まる。オーケストラとオルガンの息がぴったりとあっていて心地よい。このシンフォニアだけでも満足。次のアリオーソでは通奏低音のみでアルトが「歌い」あげる。そして第3曲のアリアだが、華麗にオルガンが奏でられながら、アルトが神の愛を賛美する。アルトは人間の祈りで、オルガンは空間を満たす神の慈愛かな。次、二つ目のレチタティーヴォ。神の愛ってなんでしょうか、と問いかける。それは魂の憩う楽園なりと。そしてこのカンタータの最高の聴き所、二つ目のアリアが登場。静かに、肉体から解き放たれ精神的な神への献身を歌い上げる。それは苦難の道、されど神がそばにいてくれる。であるがゆえにオルガンとアルトは共に同じ旋律を歌う。最後のレチタティーヴォで隣人愛を確認し、コラールへ。
パイヤールのこの3つのカンタータは出来栄えが素晴らしい。CD化されていないものでもまだまだ多くの名盤があるのだなあ。
0 件のコメント:
コメントを投稿