2019/11/07

北方謙三版「水滸伝十三 白虎の章」

水滸伝十三 白虎の章

官軍が梁山泊へ攻撃を仕掛けてくる。
呼延灼、関勝、穆弘らはこれを迎えるが、趙安の戦い方にどこか違和感をもつ。呉用へ梁山泊への退避を提案するが、呉用は受け入れず。
呉用は流花寨のみを考えて作戦を立てるが、それが裏目にでる。青蓮寺は、流花寨、二竜山への派兵を囮に、董万が双頭山を急襲する。
朱仝は辛くも春風山に逃げ込むことができたが、多くの兵をなくしてしまった。朱仝、李忠は双頭山を守り抜くなかで壮絶な死を迎える。とくに朱仝は秦明、林冲、史進が到着すると、「あとは頼む」的な言葉を言い残し、彼らの目の前で倒れて死ぬ。すでに死んでいたのだ。
董万は結局、ほど陥落していた双頭山を落すことをせず、撤退をする。
この戦いの失敗で呉用は軍師の任を宋江から解かれる。そして宣賛が新たな軍師としてつく。
聞煥章は童貫と会う。童貫は董万が勝ちにいこうとしない将軍としてそれほど評価していないことがわかる。そして童貫自ら聞煥章に自らの過去や思いを吐露する。やはり童貫は梁山泊が禁軍と張り合えるようになるのを待っていることを認めた。
戦費がかさむなか、政府内では銀が戦争にばかり使われることへの批判がでてきており、それを鎮めるために聞煥章は高級官僚三人を暗殺する。
孔明と童猛は官軍の造船所を、百名の少人数で襲撃し、破壊する。孔明はそこで死亡。

どんどん死んでいく。この漢たちの死のインフレーションよ。すさまじいですね。
原哲夫ばりに人がバタバタ死に、その死にざまに感動するという、ロマンティシズムの極致をいっている。
30代後半となり、さすがにこうも生き様、死に様を立てつづけてにみせられても、感動するよりも白けてしまうところがある。
朱仝が死ぬところなんか、『北斗の拳』みたいだったし。

それはそうと、梁山泊にはかなり強かったり、頭がよかったりと相当な人物が集まっている。呼延灼、関勝、穆弘がいるにもかかわらず、趙安ひとりを倒せないとか、なんか結局、呼延灼、関勝、穆弘などが当初登場してきたときよりも弱体化しているわけです。
でも、これもお決まりのパターンですね。
でないと、味方側は常に最強になってしまい話になりませんから。

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