2020/03/22

『レッド』山本直樹 講談社

立花隆『中核VS革マル』を読んだので、ついでに久しぶりに読んだが、やっぱりおもしろい。
「総括しろー」と言われ、何を総括したらいいのかよくわからない。
みんながみんな自己批判をしまくる異常さ。
リンチが原因で死んだにもかかわらず「敗北死」とはいったいどんな理屈なのか。
スターリン批判しているにも関わらず毛沢東主義をとりいれるとは、これいかに。

この漫画のいいところは、凄惨なリンチを描きながら、連合赤軍のメンバーが、なんだか日常をふつーに生きているのを描いているところかな。
山岳ベースでの生活は日常ではないけど、ひとりひとり青春を過ごし、インターナショナルを歌い、恋愛をし、酒をのむ。そのなかでリンチが行われていく。

読みながら、笑っちゃうんですね。「がんばれ」の掛け声とともに、みんな泣きながら殴り、蹴る。
総括することで真の革命戦士になるっていうんだけど、彼らの理屈を理解しようにもぶっとんでてね。
共産主義化とはなんなんでしょうかね。
彼らを単に馬鹿だねーと批判するだけでは意味がないと理解はしてるんだけど、でてくる言葉は馬鹿だねーしかない。

とはいっても、もう少し違った視点もある。
このリンチ事件は単なる極端なイデオロギーが引き起こしたものというだけでなく、永田一派と森一派との間の主導権争いでもあった。
このあたりは『レッド』ではそれほど書かれていないけど、山岳ベース事件というのは、遠山美枝子のリンチに見られるように、実は赤軍派の権力争いの一つでもあったし、永田側の赤軍派へのあてこすりの面もあったわけで。

でも、内部の人間を粛清するのはまだ理解できけれど、そもそも参加人数が少ないのに、十人以上も殺すことが、どんだけ痛手なのか考えないのかな。
まあこんな批判自体は、この手の人たちには明後日の方向なんだろうが。

0 件のコメント:

コメントを投稿