2019/08/15

Bach Magnificant BWV243/ Kantate・Cantata BWV78 "Jesu, Der Du Meiner Seele", Karl Richter, Archiv Produktion, 198 197/バッハ、マグニフィカント、カンタータ78「イエスよ、汝わが魂を」、カール・リヒター


Johann Sebastian Bach
Magnificant BWV243
Kantate・Cantata BWV78/"Jesu, Der Du Meiner Seele"
Münchener Bach-Chor
Münchener Bach-Orchester
Solistengemeinschaft Der Bach-Woche Ansbach
Karl Richter
Archiv Produktion, 198 197


リヒターの神格化には辟易する。リヒターはリヒターでバッハを神格化している演奏だ。ぼくはリヒターの演奏をあまりにも統一感がありすぎていて好きになれない。ブランデンブルグ協奏曲にしろ、協奏曲にしろ、電子音に聞こえてしまうのはぼくだけか?
マタイ受難曲でもそうだ。とくに二回目の録音があまりにもステレオ過ぎているので、エンジニアのせいかもしれない。なんてったって右と左で音が別々に、本当に言葉の通り別々に出てくるもんだから、陳腐に聞こえてしまう。おそらく二部合唱であることを強調したいがためなのだろうが、失敗している。

カンタータ78番「イエスよ、汝わが魂を」も、やっぱり機械音っぽい。合唱もなんか冷たい感じがして。
リヒターの演奏は聴衆にバッハの解釈の一元化をうながす何かがある。これはカラヤンも同様で、音楽を「退化」させてしまった。
リヒターの解釈がある種の到達点のように扱われてしまう。
たとえばアーノンクールのカンタータ78番は、ぼくはベスト番とは言い難いもので、物足りなさを感じるが、しかしそこには古楽演奏の発展を見ることができて、そこに音楽の愉しさがある。
しかし、リヒターには何があるのか。彼の演奏は素晴らしいものもあると思うけれど、それ以上の発展が見込めない「退廃」を象徴していると思う。
とまあ、えらそうに書いたけれど、テオドア・アドルノからすれば、レコードを聴いている事自体「退廃」だからなあ。
でも、リヒターの録音って、機械音ぽいってのは、多くの人が思っていることではないのかな。


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