Beethoven
Grosse Fuge B-dur op.133
Streichquartett F-dur op.135
Koeckert-Quartett
Rudolf Koeckert, 1. Violine
Willi Buchner, 2. Violine
Oskar Riedl, Viola
Josef Merz, Viokencello
Deutsche Grammophon, LMP18154
やはり音楽をオーディオで聴くならMONOにかぎるなあ、と思わせてくれる一枚。
録音は、50年代のドイツ・グラモフォン特有の曇った感じがあるが、それはそれで味わい深いものがありまして。
モノラルだからスピーカーは一本で、カートリッジもMONO専用で鳴らしてみれば、音が雪崩のように音が塊になって迫ってくる。四つの弦楽がまるで一つの楽器であるかのように聴こえる。
「大フーガ」は、ほかの演奏よりもテンポは遅く、かえって音の重層感が増して、目まぐるしさを長時間あじわえる。よせてはかえすフーガの波でありますよ。
第16番も比較的遅め。
第二楽章のスケルツォなのですが、これがすばらしくてですね、このケッケルトたちの演奏はガチャガチャしていて、カオス感がたまらないわけです。
第三楽章なんて、モノラルでしかあじわえない深い感動がえられる。主題部から、ヴァイオリンの旋律と重厚感のある低音部が渾然一体となっているわけです。タカーチ弦楽四重奏団のが演奏としてはゆらぎがあって好きだが、ケッケルトの場合はそんな不安をあおるような演奏ではなく、深く瞑想的なものとなっています。
久しぶりにベートーヴェンの弦楽四重奏を聴いてみたけど、これが、あのねちっこくて、しつこい交響曲を書いた人間と同一人物かと思うほど、すっきりとしていて、静かな音楽だことよ。ただあの大仰な交響曲を書いた人物だからこそ、一連の弦楽四重奏曲のすばらしさもひとしおなわけです。
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