「神は無限とはいっても、それは有限を否定した無限ではない。……有限と無限との一致した無限である、即ちCoincidentia oppositorumである。神は総ての反対の統一である。論理的に矛盾したものを統一したものであって、両立しないものの一致を神の性質と(クザヌスは)考えた」(10)
「我は我を知る。知る我と知らるる我とは同一である。……部分と全体とが同一でこれが真の無限であり、具体的には「自覚」がそれである。」(12-13)
論理の連鎖を辿るのではなく、偶然にも全体を直覚し、そこから論理を組み立てる。Coincidentia oppositorumは消極的であるが、愛いおいては積極的となる。
「我等が真に愛するということは自と他の矛盾の一致である。即他を愛するという事が自分を愛する事になる。かく愛の本質はこのCoincidentia oppositorumがもっとも純粋に顕われたものである。」(15)
愛は論理的には説明できないが、Coincidentia oppositorumが生活の愛で、一切の生活の、人間活動の基礎となっている。
なかなか興味深い話をしている。神の無限とは何かが明確に語られている。そしてそれが愛なんだという。ここはよくわからないが、ただ論理では説明できないものがあって、それは矛盾を内包しているというこの感覚はいい。
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