あまりのおもしろさに、ゆっくり読むつもりだったのが一気読みとなってきた。
スカーレットはフランクと結婚をして、タラの追徴税を支払う。そしてさらにはレットから金を借りて製材所を経営する。
スカーレットも南部が再び復興することを望んでいる。しかし、その達成方法が異なる。男どもは選挙や投票、KKKなど政治運動によってこれを達成しようとする。しかしスカーレットは金持ちになることで、自分を守り、家族を守っていくことができると考えている。
スカーレットは男どもをバカにしていく。
「男性って、どん底に落ちても目が覚めないのかしら?」
「どうやらそうらしい。けど、プライドだけは売るほどあるんだ」トミーはまじめな顔になった。
「プライドね! プライドって素晴らしく美味しいんでしょ。特にくずれやすいパイ皮みたいで、メレンゲをのっけて食べたら最高ね」(126)
きついお言葉で。
スカーレットというのは、なかなか複雑に描かれている。スカーレットは基本的に子供が嫌い。自分の子供にもあんまり感心がない。が、そんな彼女も子供達にはひもじい思いをさせたくない、幸せな、安全な生活を送ってほしいとも思っている。(95)
この小説の複雑さの一つは黒人奴隷問題の描き方で、南部はたしかに奴隷制であったし、貴族趣味をしていた地域。で、黒人に対する認識を、北部と南部の違いを書いている。
ヤンキーの女たちが子供の乳母がほしい、アイルランド人の乳母がほしいと考えている。でもスカーレットは黒人の乳母を勧めるが、ヤンキーの女たちは黒人に自分の子供を預けられるわけがない、と。スカーレットはマミーを思い出す。エレンに仕え、スカーレットに仕え、しまウェイドの世話を焼いている。スカーレットは思う、
「やさしい手。このよそ者たちは黒人の手のなにを知っているというのだろう。 彼らのてはどんな愛おしく、安らぎを与えてくれるか。その手はその時々で、やさしくなだめたり、ぽんとたたいたり、そっとなでたり、何をするにも間違いがない」(140)
そしてさらにピーター爺やまでも「ニガー(黒んぼ)」と馬鹿にしていく。ピーターはいまだかつて白人から「ニガー」と侮辱されたことはない。んでピーターのここでの回想がちょっとおもしろく、
「大佐は今わの際でわしにこうおっしゃたぞ。『ピーター、わたしたちの子どもたちの面倒を頼んだぞ。頼りないピティパットも世話してやってくれ』そう言われたのだ。『あればバッタ並みの分別しかないのだ』と。それ以来、ピティさまのことは、それは大事にしてきたのじゃ」(141)
オールド・ペットと侮辱されたピーターはなんかピティを逆にペットみたいに扱っている様子。
父ジェラルドが落馬で死んでしまった。スカーレットがその経緯をウィルから聞いていて、逆にスエレンを讃えたりする。
「十五万ドルですって」スカーレットはそうつぶやきながら、誓いへの抵抗感があっさり薄れていくのを感じた。すごい大金じゃないの! それは、合衆国連邦政府への忠誠を誓う書類にサインするだけで手に入るなんて。……そんなささいな嘘をつくだけで、こんな大金が手に入るなんて! そういうことなら、スエレンを責められないわね。やれやれ!」(206)
とここでもプライドを重んじる南部人を馬鹿にしていく。
フォンテインおばあさんのウィルとスエレンの結婚を認めるかどうかをスカーレットに確認して、スカーレットは確信をもって認めるところ、
「では、わたしに帰すをしなさい。……いままであなたのことをあまり好きになれなかったのよ、スカーレット。子どもの頃から、ヒッコリーの実みたいに頑固で、わたしは自分はさておき、頑固な女性は好かないからね。とはいえ、ものごとに向かい合うあなたの姿勢は買っているんだよ。どうにもならいと分かったら、どんな嫌なことでも、つべこべ騒がない。そうして腕のいい猟人みたいに、柵をみごとに越えてしまう」
ここのやりとりもみごとで、おばあさんはウィルとスエレンとの結婚をあたかも認めているかの口ぶりで、しかもウィルを非常に買っている。でも雑種とサラブレットの結婚を認めるわけがないと言ってスカーレットを面食らわせる。
このあばあさんは多くのことをリアリストとして見えていて、アシュリーが使い物にならない男であること、それをメアリーのおかげで成り立っていること。スカーレットにはヤンキーやクズ白人から絞れるだけ絞れとまで言う。
フランクやアシュリーの行動がスカーレットの責任であるというなかで、メラニーだけが彼女をかばう。
「スカーレットは悪くなんかありません。彼女はただ――すべきと思うことをしただけよ。同じように男性たちも、すべきと思うことをしたの。人間にはそれぞれ己のなすべきことがあるし、しなくてはならない。」(424)
さすがはメラニー。何か宗教的使命感を感じる。
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