日本ではなぜかニュルンベルク裁判の書籍がほとんど出版されていない。東京裁判関係は山ほどあるのにもかかわらずだ。東京裁判の枠組みをつくったニュルンベルク裁判を知りたくても難しい状況だ。
んで、この小さい書物なのだが、はっきり言って入門中の入門で、かなり不満すぎる。ウィキペディア級のことしか書かれていないというか、ウィキペディアの方が詳しいし、変な訳語もなくていい。
ニュルンベルク裁判の成立については、かなり興味があるんだけど、まあ入門書でもあるのでさらっとしか書いていないが、そもそもイギリスは裁判形式をせず、銃殺してしまえという態度だっとなんて知らなかった。そうすることで、単純に有耶無耶にもできうるし、ところがスターリンが裁判形式を支持してしまうらしい。
このあたりの詳しい状況を知りたい。
さらには「モーゲンソー・プラン」という過酷な制裁もアメリカは考えていたようだ。
んー気になるね。もっと詳しい事情を知りたい。
とりあえず、本書で重要なのは、ニュルンベルク裁判が、単にナチス指導者21人を裁いた裁判ではなく、他のエリートたちを裁く12の継続裁判も重要視していることで、むしろこれらの諸裁判を含めて「ニュルンベルク裁判」と呼ぶべきものであるという。
医師裁判
ミルヒ裁判
法律家差異案
ポール裁判
フリック裁判
IGファルベン裁判
南東戦線将官裁判(人質殺害裁判)
親衛隊人種・植民本部(RuSHA)裁判
行動部隊裁判
クルップ裁判
ヴィルヘルムシュトラーセ裁判(諸官庁裁判)
国防軍最高司令部(OKW)裁判
1945年以降のドイツの歴史認識やら言説なんかは、日本とあんまり変わらないのかなと思うし、敗戦国の宿命とも言える。勝者の裁きだっていう声だって普通に存在してもおかしくないし、一億総懺悔よりもいいような気がしないでもない。
ニュルンベルク裁判はドイツを裁くために行われたにせよ、日本でも適用され、そしてハーグ国際刑事裁判所へと繋がっていく
芝健介『ニュルンベルク裁判』岩波書店
クリストフ・クレスマン『戦後ドイツ史1945-1955――二重の建国』未來社
石田勇治『過去の克服――ヒトラー後のドイツ』白水社
このあたりを今度読んでみるか。
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