2021/06/05

桐壺――源氏物語

満を辞して、「源氏物語」を読む。谷崎の新訳版。
現代語訳とは言いつつも、かなり難しい。主語がなく、敬語で判断したりするのはかなりしんどい。
そして和歌がよくわからないのが悲しい。長恨歌や古今和歌集などを引いているのだが、さっぱりよくわかない。このあたりは致し方なし。
時代背景を学びながらなので、相当の気力が必要と思われる。

桐壺系十七巻
桐壺、若紫、紅葉賀、花宴、葵、賢木、花散里、須磨、明石、澪標。絵合、松風、薄雲、朝顔、少女、梅枝、藤裏葉

なかなか『ガラスの仮面』や『エースをねらえ』的な話になっている。
桐壺更衣の部屋まで行くのに数多くの局の前を通らなければならないが、送り迎えする人々の着物の裾を汚す仕掛けをしているとか。どんな仕掛けなのか牛糞とか人糞とかか。中核派の「ナイーヴ作戦」さながらの嫌がらせです。
果ては桐壺更衣は死んでしまう。
ここで光源氏の人生がはじまる。帝に愛されるが、どうも「帝王の相」があるからということで、源姓をもらい臣籍に下される。光源氏は帝王の素質があるが、桐壺帝は世が乱れることや光源氏がいじめられることを心配しての措置のようす。
桐壺更衣亡きあとに藤壺が現れて、帝は元気を取り戻し、光源氏は隠れ恋慕。んーどういうことでしょう。

ちなみに光源氏が元服の際に葵上が副臥となるが、これがなんと光源氏の添い寝役の意味だというからね。光源氏は十二歳で、葵上は少し年上で十六歳、そんな年頃の少女が添い寝してくれるなんて、羨ましすぎる。
これだけですでにエロい妄想が全開となる。十二歳というとすでにオナニーも知っていてもおかしくないお年頃であり、そうなってくると葵上を光源氏はちょっとこいつは趣味じゃないと思っていても、性欲は抑えることは難しいことと思う。

日向一雅『源氏物語の世界』 (岩波新書)では、ここでいくつかの謎を提唱している。
なぜ按察使大納言は、死後に桐壺更衣を入内させたのか。死後のためすでに一族繁栄という意味ではない。天皇の外戚の地位を得るためではない。ここに明石一族の繁栄物語が重なってくるらしい。
そして白居易の長恨歌が随所で登場し、これは帝の桐壺更衣への「長恨」と藤壺の「形代」が提示され、この主題は光源氏、そして息子の薫にも引き継がれていくという。
さらに「帝王の相」をいかに実現していくのという光源氏の王権物語をなしているという。
んーなかなかおもしろそうではないですか。

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