2020/01/20

Mozart Piano Concerto No. 27 Concerto for 2 Pianos Emil & Elena Gilels Karl Böhm Vienna Philharmonic Orchestra Deutche Grammophon, 18MG 4643(419 059-1)/モーツァルト、ピアノ協奏曲27番、「2台のピアノのための協奏曲」(10番)、エミール・ギレリス、エレーナ・ギレリス、カール・ベーム、ウィーンフィル



Mozart
Piano Concerto No. 27
Concerto for 2 Pianos
Emil & Elena Gilels
Karl Böhm
Vienna Philharmonic Orchestra
Deutche Grammophon, 18MG 4643(419 059-1)

モーツァルトのピアノ協奏曲27番と10番の「2台のピアノのための協奏曲」。後者はギレリス父娘で共演。
27番はよく最晩年の曲として他のピアノ協奏曲とは違った評価がされる。例えば天国的だとか、死を予感させる静謐さとか。でもですね、第一楽章からして非常に古典的な、ハイドンやボッケリーニと同じように、古典派のスタイルなわけです。つまりは非常にモーツァルト的なわけです。オーケストラは脇役でピアノを引き立たせる伴奏に徹している。
曲調も非常に幸福感あふれていて、モーツァルトだぜー、となっている。
ぼくは27番は嫌いではないし、好きですよ。よく聴きますしね。でもですね、死んだ年に書かれたからといって、変に意味づけるのは好きではない。
この曲はモーツァルトが死んだ1791年1月に完成し、死ぬのは12月なわけです。まだこの曲を作曲していた時にはモーツァルトはピンピンしていたことだと思う。リューマチ熱が死因だとすると、まあ常に何かしら苦しんでたかもしれないけど。でも死の予感なんてないわけですよ。
だから、この27番はかなりモーツァルトらしい幸福感あふれる曲調で、第二楽章はたしかにモーツァルトが作曲した緩徐楽章のなかでも抜きにでるものがあると思うけど、天国を思わせるものはないし、モーツァルトはクリスチャンじゃないし。

つらつら書いたけど、このレコード買った目的は、10番「2台のピアノのための協奏曲」を聴きたかったから。
ぼくはこの曲をはじめて聴くのだけれど、やはり2台のピアノだけあってピアノの音の厚みがあって迫力がある。
オーケストラはやはり脇役で、ピアノとピアノの対話が紡がれていて、第一楽章はオーケストラの少し長い序奏からはじまり、2台のピアノのユニゾンがはじまる。これはK488「2台のピアノのためのソナタ」と同じ。ここでもモーツァルトは疾走していますね。哀しみではなく幸福ですが。聴いていて楽しい。
第三楽章はとくにいい。ここで使われている主題はとても単純なもの。そして洗練されているとは言い難いフレーズ。それでいてなぜここまで楽しい曲にしあがるのか不思議です。交響曲40番の第四楽章もはっきりいってなんか単純な旋律だし、野暮ったさがあるんだけれど、それがいいんですね。
もちろんギレリスの演奏は言わずもがな、軽やかでいいですね。

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