2020/09/11

『正法眼蔵入門』 頼住光子 角川ソフィア文庫

まあまあ。やはり原著にあたる方がよいかな。書いてある内容はたしかに入門でわかりやすいが、それ以上ではない。
とは言っても、『正法眼蔵』は何度か読もうと試みてきたが、一度たりとも岩波文庫の一巻目すら読み通すことができていない。激むず。
ふとしたときに道元関係の本を読んできたが、もうある程度の入門的な知識はあるのだが、やはり直接、長い時間をかけ、『正法眼蔵』と格闘せねばならないようだ。

本書は全体的に道元のエッセンスがよく書かれていると思うけど、道元の思想ばかりが書かれていて、時代背景や道元と彼以前の禅のあり方がいっさいないので逆に道元の思想がわかりにくいのではないかと思う。
道元が『正法眼蔵』でそれまでの禅の教えの何を乗り越えようとしていたのかが不明のまま。そのため全体的に一般的な「仏教思想」の内容に近いものになってしまっている。
たとえば公案の解釈の差異から道元独自の思想が浮かび上がってくるはずだ。でもそういうことをしていない。
結局、彼が永平寺で成し遂げようとしたことも中途半端な書き方なんですね。
有と時について抽象的な議論をするよりも、もっと道元の独自性に焦点を絞った方がよかった。
星二つ。
而今を「にこん」と読むが、Nikonの社名の由来だと勝手に考えていたが、どうなんだろう。でも、「この一瞬」という意味だから、カメラメーカーにぴったりなんだけど。

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