2019/04/26

『蒙古桜 花妖譚十』司馬遼太郎短篇全集一

蒙古桜 花妖譚十

ナルンの疎林で、少女サラは、ある男と何度も逢瀬を楽しんでいたが、ある時男が現れなかった。男はエルトム・バートルといい、いっきに馬を走らせて伝令を伝える伝騎であった。そしてその中でも「鷲の羽」とよばれていた。オゴタイの死を伝えるためエルトムはカラコルムからライン川までを十日近くで走り切り、そこで息絶える。サラは、男が走っている間、森の精から教えられた通り、桜草に祈りを込めていた。男が無限の疾走を続け、サラは男が死ぬこと感じとる。そこで自らの白い股を短刀で裂き、桜をそこに挿す。すると花びらは血を吸ったためか赤みがさす。そして血が固まると、サラはさらにまた自らを裂き桜をさすということを繰り返す。

司馬さんは、騎馬民族好きなのにもかかわらず、それほどモンゴルや匈奴などの小説を書いてない。『韃靼疾風録』『草原の記』ぐらいか。
この小説では、司馬さんが好きな「草原」といった感じがあまりでておらず、なんか本当に好きなものは隠している感じがする。だからかあんまり面白いものではない。草原への思いはあるし、それを題材にしたけど、人には教えたくないといった感じか。
これで「花妖譚」のシリーズは終了。正直言えば、どれもこれもたいした小説ではなかった。読む気が失せてしまったりして、ちょっと時間をおいたが、ようやくだ。義務感のみで読んだといったほうがいい。次の短篇は『ペルシアの幻術師』。そういえば、これを読んだかどうか記憶がない。読んだら思い出すかな。

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