川田氏の著作は全般的に冗長だ。全体を俯瞰するのにはとても役に立つが、通読するのには骨が折れる。
書いてある内容で、特筆すべきところとしては、農務省時代の柳田国男の農業政策だ。地主制度の廃止、南方への移民の推進などは柳田の手軽に読める著作物では知ることはできない。
地方の人口増加によって、農民一人がもてる土地の面積が小さくなるから、南方に移民を考えていたというのも、けっこうショッキングではある。
柳田は民俗学を欧米のフォークロアでもエスノロジーでもないものとして確立しようとしていた。
柳田の著作を読んでいても、欧米の影響というのはよくわからないのだが、本書ではデュルケーム、マリノフスキー、フレイザーらの影響があることが論じられている。まあそうだな。
全体的には柳田国男の著作をある程度読んでいれば、さもありなんといった感想しかない。
とりあえず国家神道への批判や氏神信仰について書かれている。ある程度まとまっているので便利ではあるが、それ以上でもそれ以下でもないかなと思う。
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