2020/06/24

『メディアと自民党』 西田亮介 角川新書

高木徹氏の書いた『ドキュメント 戦争広告代理店――情報操作とボスニア紛争』とを読んだとき、ぼくらが考えている「メディア」の理念がどれほど間違っていたのかを思い知った。その後、テレビで報道されるニュースに対して、信用なんかできなくなったし、何か裏があるんじゃないかと勘繰るようにもなった。
メディアというのは、世論を操作する技術だということを思い知った。

『メディアと自民党』を読んで驚いたのが、小泉政権のころまで自民党ってそんなにメディア戦略をもって政治をしていなかったことだ。
あんまりメディアを操作するということに、良くも悪くも、あんまりいい印象がなかったのかな。
これはちょっと驚きでして、もっとどす黒い何かがあると思っていたのに。
けっこう安倍政権になって自民党がメディアに頻繁にでてくる印象はあった。それは討論番組にではなくバラエティ番組に安倍ちゃんが出演したり。
でも、けっこうソフトなやり方なんだよね。本書読んでいても、なんかけっこうフツーな広報で、巨悪がない感じ。むしろ巨悪は電通だとかに感じちゃう。
アメリカのマスメディアの方がもっと世論操作が露骨と考えると、日本のメディアって真面目だったのかもしれませんね。
本書、資料的価値が高い、珍しい新書でときどき見返すことになるかな。出典が明確だから、それもとてもいい。

笑っちゃたのが小泉内閣の郵政民営化のとき、小泉政権の支持者である、「(政治について)具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」を「B層」と位置付けていたこと。しかも小泉は政治はデータではなくて広報であることを知っていたこと。
ぼくは当時、学生ながら小泉さんはかなりおもしろい人物に見えたし、郵政改革もよくわからないけど、心のなかでは応援してましたよ。
『TVタックル』や『そこまで言って委員会』『朝まで生テレビ』なんかを見て、政治の勉強だと思っていた当時が恥ずかしい……。

西田さんは指摘しますね、オールドメディアが自民党に圧倒されていると。悲しいですね。
2020年の現在、その傾向はますます強くって、そしてマスメディアがますます広報の場になっているが、しかしまあメディアってそんなもんだと思うしかない。
んで、もっと悲しいのが、どこからどこまでが自分の考えで、どこから広報の影響なのか、自分自身でわからないことだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿