2021/01/11

『人口減少と社会保障――孤立と縮小を乗り越える』 山崎史郎 中公新書

社会保障の4分野は社会保険、公的扶助、公衆衛生、社会福祉となっている。そして自助、相互扶助、公助が基本となっている。
1950年代に日本では社会保障を整備し始めて、1995年一応の充実したものができたが、その後の日本経済の悪化と家族構成の変化により、それまでの社会保障も変化を要請される。
当初は、終身雇用、2世代3世代での家族同居、経済成長が前提となっていたが、これらが崩れていったのが、90年代からの日本の状況となっている。
社会保障の財源をどこから調達するかで、仕組み自体も変わっていく。税か保険かで、予算のたてかたも変わってくる。ここはなるほどと思った。
保険で賄えば、徴収した保険料は必ず目的に使われるが、税から賄う場合は、予算を組むために、必ずしも十分な予算を確保できるわけではない。そのため保険で社会保障を支えることは、財源の確実な確保という観点からはいい。かつては介護サービスは税金で賄われていたこともあり、予算の制限がかなり効いていたために、低いサービス状況だった。
そして保険で賄うことで国民に、制度を支えあっているという意識を植え付けることにもなる。
しかし、社会状況が変化し、非正規社員の増加、失業者の増加、高齢化によって、社会保障が十分に機能しなくなってきた。
教育や子育てへの支援が少ないのは、やはり予算の制限があるからなのだろう。であるから、結局寂しい支援になっている。
今後、人口減少と高齢化社会をむかえるにあたって、多様なニーズに対応できるような社会保障が必要になっていく。
2016年における開度保険の財源構成について、50%が公費で、残りの半分が保険料。全体の22%が65歳以上の保険料で、のこりの28%が40~64歳の保険料で賄われている。けっこう重要なところで、若年層からは保険料がとられれいないこと。たしかに税金から補填されているとはいえ、社会保険を細かくみていくとなかなか興味深い。

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