2022/11/03

『動物たちのナビゲーションの謎を解く――なぜ迷わずに道を見つけられるのか』 デイビッド・バリー/熊谷玲美訳

はじめの方で、関東圏のJR路線図と粘菌がつくるネットワークが似ているという研究が紹介されている。イグ・ノーベル賞をとったやつ。
と、とりあえず、おもしろかった。まずアリの話が紹介されていたのだけど、そもそも僕はアリが巣に帰る際に使っているのは、お尻から分泌される匂いを辿ってだとばかり思っていたら、どうも蟻たちはランドマークやらをみながら巣に帰っているということで、つまり目が見えているのだ。そんな、ぼくは昆虫の生態については全くの無知なのだけど、たしか小学生の頃に読んだウイルソンの研究とかで、蟻は目が見えないとか書いてあったような、、、それを信じて30年以上生きてしまったようだ。
光子一個のレベルを検知する光需要細胞をもつコハナバチ。真っ暗なジャングルでも迷わない。
偏光とe-ベクトル。これなんか、驚きでもあるが、さもありなんといったかんじ。でもたしかに人間の見る世界というのは、あくまで人間の眼の構造によるもので、眼の構造が違えば、見え方も違うのは当たり前だわな。これは太陽コンパスとか太陽が見えないときでも活用できる能力だ。
鳥たちは、星の運行をみながら空を飛んでいるようだ。北極星だけでははなく、もしかしたら天の川なんかも使いながら飛んでいたりする。とすると光害は鳥たちに深刻なものになるのかもしれない。とくにフンコロガシ。天の川をみながら糞を転がす、しかも球体にしながら。感動的。
ラジカル対を鍵とする光化学磁気コンパス仮説。クリプトクロムは多くの植物m動物がもつ分子で体内時計や成長を制御しているらしい。このクリプトクロムが光によって刺激されると、内部で電子の「ラジカル(遊離基)対」が生成される。そして、このクリプトクロムが地球磁場に対してどの向きになるかでラジカル対の挙動が異なる。その結果原子より小さいスケールで「シグナル伝達カスケード」という現象が起きる。これが神経シグナルの発火を誘発する。こうして動物が磁場を認識する。このクリプトクロムは非常に少ない光でも働くと。そしてこのラジカル対の解明は量子コンピューターの開発に重要かもしれないとなんとか。
「一個の電子のスピンから自由に飛ぶ鳥まで、あらゆるレベルのことを理解する必要があります。」(316)
んー、素粒子物理学がこんなところでも。
なかなかユーモアがある内容でもあった。蜂の尻ふりダンスを提案した研究にたいして、アメリカ人研究者は難解な統計学で批判したとか、んで最近の研究では昆虫の足の数は6本ではなくて、5.9本±0.2本とかなんとかいう統計学的な答えが正しいとされているとか、なかなかユーモアがあっていい。
インフラサウンド、磁気感覚、波を読むウミガメ。いろいろ興味深い。

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