いちいちかっこいい。
ジョン万次郎が実はピークオッド号に乗っていたというお話で、考えてみればメルヴィルとかって同時代の人なんだな。
「われらは、死んだら海になればよい。海の底で、海の生きものに喰われ、やがて、スターバックスであったか、エイハブであったかなど、何もわからなくなってしまうのでいいのだ」(24)
「そのホトケは、嵐を鎮める力があるのかい?」
「ある」
ここは、万次郎は、迷わずに口にした。
「しかし、その力があるかどうかということより、こっちの願いを聞いてくれるかどうかだな」(263)
「あたりまえの事実を、あたりまえに告げた――そんな顔をしている。自分の死を告げながら、その表情に恐怖も何もない。むしろ、どちらかというのなら、その声にはわずかながら悦びの響きすらあった。」
「人は、いつも、正しい道を選ぶとは限らぬのだ。おおかた、人は、間違った道を選ぶ。しかも、人は、間違った答えを手にしてしまっても、そのことに気づかぬ。たとえ正しい答えを見つけたとしても、それが正しいかどうかということにも気づかぬのだ。いやそもそも、正しい答えがこの世にあるのかどうか」(412)
「時に、物語は、予定調和を拒否する。答えがないことが答えの時があるんだよ。物語は混沌でいいんだ。混沌――カオスこそが物語の本質だよ。……物語には、結末なんていらないんじゃないかと思う。だって、そうだろう。」(453)
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