2017/09/21

日本の公衆衛生について The Economist June 24th 2017


The Economist June 24th 2017Public Health in JapanPassive obsessive


日本の公衆衛生について消極的な強迫観念
日本政府内で喫煙について意見が合わない。財務大臣の麻生太郎は定期的に政治上の失言をする。彼の発言の中でも最も悪名高いのが、もし年寄りが急ぎ死ねば医療費は削減できるだろうというものだ。このような基準によってか、しかし、麻生氏が喫煙と肺癌の関係について疑っていることには驚かせるものがある。麻生氏の疑念は、希望的考えでしかないかもしれない。つまり彼は結局のところ長年の愛煙家なのだ。しかし彼の務める財務省は年間2兆円以上をタバコ税からかき集め、世界で4番目に大きいタバコ製造企業であるJTの約3分の1の株を所有している。運動家は長年、タバコを売りながら、同時にやめさせようとしている政府の不合理を厳しく非難してきた。これはブレーキをかけながら自動車を加速させているようなものだ。受動喫煙から守るために、議論は私的な住居以外のほとんどの建物の中で喫煙することを禁止させようというところまで来ている。2020年にオリンピックで東京に何十万人もの旅行者が訪れる前に、厚生省はそれを施行させたいのだ。麻生氏が所属する自由民主党から70%近い国会議員が、この禁止に反対するグループに参加している。彼等を駆り立てているのは小規模だが影響力のあるタバコ農家のグループで、なおかつ飲食業界だ。特に飲食業界はこの禁止案が小さなバーやレストラン、日本の愛すべき、そして至る所にあるガストロパブである居酒屋を廃業へと追い込むのではと気をもんでいる。年に少なくとも15000人の死に原因である受動喫煙は、このような店で起きていると厚生大臣は言う。厚生省の役人はこの一連の争いをこれらの業界と戦ってきた。そして一定の効果があった。男性の喫煙率は2000年代の初期から17%下がっている。成人の18%が喫煙している。東京やその他の都市では路上での喫煙は禁止されている。しかし、受動喫煙の法律は法的拘束力をもたない。単に物件所有者や雇い主に曝露から客や労働者を守るように「努力させている」だけなのだ。そのためありえないことだが、日本の喫煙者はよくプカプカタバコを吸うために、室内でよくタバコをつまんでいる。6月18日の夏に国会が閉会する前に通さなければならない法律の制定を延ばし延ばししながら、喫煙者も非喫煙者も一緒に食事をしてきた。厚生省は提出された禁止案が立ち消えになることを恐れている。自民党は、レストランやバーの入り口にタバコを吸えるかどうかを告知するだけで、喫煙を広く認められるもののままにしておきたいと考えている。厚生大臣の正林督章は、多くの無駄な死を招いていると述べている。かわりに、厚生省は小規模の店舗には免除を提案している。ハワイ大学のマーク・レヴィンは飲食業界の懸念は根拠がないとしている。完全禁煙の店を要請する法律は、ほとんどの場所で仕事を減らさず、ときには増収となると述べている。結局はほとんどの客はきれいな空気に感謝するだろうとレヴィンは言う。美食家の麻生氏は、うまい料理の後の煙草をこよなく愛しているといわれる。しかし、彼や同僚は少なくともバーやレストラン以外の場所での規制の強化をしぶしぶ認めるだろう。正林氏は、すべての人が自らの楽しみを楽しむべきだが、議員は自分たちが灯の燈る明るい場所から追い出されることを恐れるからといってしないのではなく、科学と公共善に基づいて政策を決すべきであると述べる。

★文法・語彙・解釈passive obsessive 僕の訳は「消極的な強迫観念」とする。「受動的」とは違うだろうと思う。この記事では愛煙家が政府内にいて、また屋内での禁煙を進めるグループもいて、そのなかで折衷案を見出そうとしたり、気炎をはいたりしている状況が書かれているわけで、総合すると積極的(active)に全面禁煙を推し進めているわけではないからだ。だけど、せねばならないという強迫観念に取りつかれて、しぶしぶ規制を強化しようとしている日本政府について書いているからだ。ちなみにEISというThe Economistの日本語訳をオンラインで有料提供しているサイトでは、「受動的な強迫観念」となっている。有料のため見出しのみで中身は未確認。
at odds 意見があわない 不和で
gaff 失言
obsarvation ここは「観察」といった意味ではなく、「意見・考え」
rake かき集め」
one ここでは一般的な人を意味していると考え、訳さず。rail againt 厳しく批判する
come to a head 「危機を迎える 頂点に達する」といった意味だが、つまりは目標を屋内での禁煙とし、それを目指している感じ。
egg A on Aを煽る
catering industry 飲食業界 外食産業
skirmish 小さな戦闘 口論
non-binding 拘束力のない
establishment 「支配層・権力機構」等の意味でなく、通常の「組織・施設・店」の意。
premise 「前提」ではなく「店」の意
Among ~for a puff ここは倒置。that節が主語、だと思う。
puff ぷっと息を吹く
nip つまむ つねる
indoors これは副詞。「屋内で」の意。
dig in 「食べ始める」「掘る」「備える」など多岐にわたる句動詞。ここでは前後の文脈で食事に関することと推測し、「食事をする」の意味でとる。
smoke-free 完全禁煙
at most ここでは「せいぜい」の意味ではなく、mostは venues修飾し「ほとんど」の意味、このvenueはestablishment, premiseの言い換え。
not because ~ ここは本来、not because~but becauseの形で、今回はnot becauseが後ろにきていて、諸々を省略している。
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まったくふざけた記事だ。海外から人が来て、日本の喫煙についての在り方に驚かれるなら驚かれたままにしておけばいい。不健康であることが罪なのか。本人が不健康で苦しむのはいいけど、他人に迷惑をかけるなとかの論法もなんというかね。自分だけがきれいさっぱりとした清潔な人間だとでも思っているのでしょうか。Economistのこういうところが嫌ですよ。多くの先進国では、結構厳しい取り締まりとなってるけど、言わばいまだにタバコはアウトローの象徴なのだね。


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