Schubert, Symphony No. 9 C Major (Great)
Josef Krips
The Concertgebouw Orchestra Of Amsterdam
Decca LXT 2719
1959
安くてモノラルなので購入。僕はシューベルトはほとんど聞かないがこの曲だけは、何度聴いたかわからない。アマチュアリズムの極地にあるのがこの交響曲だ。ハ長調で単純で明快。ブラームスやブルックナー、チャイコフスキーのように深刻ぶっていない。ラストなんてこっちが恥ずかしくなるぐらいに洗練されていない終わり方だ。だけども、この芋臭さがたまらなく良く、旋律もその芋臭さとあいまって歌いたくなってしまう明快さと単純さがある。
ジョセフ・クリプスは1902年のウィーンに生まれている。世紀末ウィーン文化の後の世代だ。二十代から四十代にかけて世界大戦が繰り広げられ、荒廃していくウィーンで生きていたことになる。
全体的に緩急の付け方が心地よい。そして端正に演奏されている。荒廃したウィーンで、在りし日々への憧れのようなものが聞こえてくる。クリプス自身は全盛期のウィーンを知らないが、憧れはあっただろうと思う。現代の指揮者のように派手さもなく個性的でもない。言ってしまえばオーソドックスなのだが、強調されすぎた個性よりも何倍も素晴らしい演奏だ。強調や誇張もなく、慎ましく美しく音楽が鳴っている。
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